脱糞レポ

御年24歳、初めて脱糞致しました。

 

 佐賀の観光を終え、時間あるけどそろそろ空港までのバス近くの駅で土産でも探そうかというときだった。駅までもう1分も無い距離で今まで体験したことのない猛烈な腹痛に襲われた。

30秒前まで何の違和感もなくTwitterしながら誰もいねぇ田舎の路上を歩いていたのだが、ヤベェ間隔が腹部を襲い、「あっこれ旅行の荷物持ってるとトイレに間に合わねぇ奴だ」と路上の脇に鞄を投げ捨てるも、歩くたびにうんこが押し出されて行く未知の感覚に襲われ、トイレまであと30秒のところでフィニッシュ。

 パニックになる俺を優しく包み込むかのようなケツ回りの温もり。一刻も早くトイレへ駆け込みたいが走ることもできず、ブツが垂れないようペンギンみたいな歩き方で駅のトイレへなんとか辿り着いた。

 

 伏線は今思い返すとあった。賞味期限がやべぇもんを食った、牡蠣や生鳥を食ったなどの原因は無いのだが、昼飯食ってる時にめっちゃ腹が痛くなってトイレに駆け込み、食後もまだ異物感がありトイレに再度行こうかとしたが人が入っており、「まぁさっきトイレ行ったし駅まで余裕あるだろ」と楽観的に思って移動したりした。従来の腹痛なら10分程度は普通耐えれるし、そういった健康な腸を持ってる側の人間としてこれまで生きてきたのだから、その5分後に路上で脱糞することになってるとは夢にも思っていないことを誰が責めれようか。これは天災です。

 

ところで皆さんは脱糞したことはあるでしょうか?

 電車、授業中、コミケ、色々なところで凄惨な脱糞関連のエピソードは聴きますが、すぐトイレに入れた私は比較的幸運な脱糞者だったでしょう。ですが、脱糞未経験者の私は知らなかったのです。事後処理からが逆境との闘いの始まりだと。

男子トイレのトイレットペーパーを大量に消費しながらケツ回りを拭き、一度流した後のトイレの水にパンツを浸してブツをなんとか流す。そこまでは良かったけれどブツが垂れたズボンはトイレでは水を付けることもできない。服が入った荷物は路上にパージしてきた。奥に多目的トイレはあったが、少しでも近い距離に入り、人目から離れたくて男子トイレに入ってしまった。これも経験者ならやらないミスだったのだろう。

しばらく逡巡した末、水洗いしたパンツを履き、ズボンは汚れが見えないように畳んで手に持ち、パン1状態で多目的トイレを目指すことにした。コートは来てるし、上コートに半ズボン履いてる人に見えないこともないよな?見えねぇよな?この間に見つかって通報されたら俺お縄になんのかな?等考えながら、男子トイレの中から周囲の気配を探り、人気が一番薄い時に意を決して俺を癒し救ってくれた個室からの籠城をやめた。清掃のオバチャンが出入口に居て目が合った。しかもオバチャンがずいずい近づいてくる。あっこれ臭いで察された?というか俺下パンイチだけど?っと冷や汗を流しながら扉を占め籠城しようとするとオバチャンが「トイレットペーパー交換してるけどまだ紙あるぅ?」などとおっしゃる。ああ業務ですもんね、となるがそんな余裕はなく扉の影に下半身を隠しながら「アッ大丈夫ですゥ」と上ずった声で返答。もちろんトイレットペーパーは俺のうんこの処理に大量に浪費されていたが、人は社会で生きて行く際に嘘を吐かざるを得ない時が多々ある。

そんな攻防の末に再び籠城した俺を尻目にオバチャンも一時的にトイレを離れたようで、その隙を縫ってズボンを持ちパンイチの状態で奥の多目的トイレへ。当然だが濡れてるパンツがめっちゃ冷たい。ここで人が入っていたらパンイチのまままた男子トイレへUターンしざるを得ず、天に祈りながら多目的トイレの開閉ボタンを押した。佐賀の過疎化が進行してることを祈った。無事多目的トイレに先住民はおらず、男子トイレの個室の数倍ある空間、そして充実した脱糞処理施設に行政に感謝した。多目的トイレ、糞漏らし処理もバッチリ目的として許してくれる懐の深さ。

 

そして無事ズボンのクソも流し、精神的余裕も出てきて「後でTwitterにクソ漏らし報告あげるか」と写真を撮ったりもした。しかし衣服が入ったカバンは途中でパージして未だ路上。最悪の場合は置き引きされたり周辺住民に回収されてるので、水洗いしたてのズボンを水洗いしたてのパンツの上に着用して鞄を拾いに。本日、佐賀の外気温は6℃。下半身が痛い寒さに打たれながら路上の鞄を無事回収。これも住民がいない過疎化にただただ感謝だった。

そして再びトイレに入り濡れたパンツとズボンをパージし衣服鞄を漁って気付く。「あっ俺ズボン一着しか持ってきてねぇじゃん」

これも先述した、奢りがあったのだろう。俺の腸は健常でありズボンが汚れるシチュエーションなどないのでほぼ1泊2日の日程ならズボン一着で良いだろうという慢心。ケア不足。転ばぬ先の杖。

そして残された選択肢はパジャマを履くことだった。

 

そんなわけでパジャマ履いてドラッグストアでファブリーズ買ってケツにファブリーズして、下パジャマのまま約4時間のフライトをしました。楽しい旅行だったなぁ!!!!!!!!

 

 

 

 「脱糞してからが社会人の始まり」「脱糞したことない奴は"浅い"」といった言論を今までTwitterで見たことがある。

 未脱糞者だった私はまたまたそんな大層なことを言って脱糞をネタとして昇華しようとしていらっしゃる、と思っていたのだが、脱糞者になって確かに一理あるな、と思うようになった。

 今回の私の初脱糞は比較的シチュエーションに恵まれた脱糞であった。具体的には旅行中で替えの衣類がある、人の少ない田舎である、駅のトイレ、それも多目的トイレがすぐ近くにある、と振り返って思うと初脱糞には最適なシチュエーションだったとさえ言えるだろう。だがそんな中でも初脱糞の危機とパニックに晒された私は、衣服鞄を手放す、多目的トイレに最初から入らないといったミスを重ねたのだ。初心者だから分からん殺しされた訳である。一度脱糞していたならこのようなミスはしなかったろう。被災者が次の天災の際に頼りになるように、脱糞者になることも一つ経験を重ね、不測の事態に強くなることという訳である。

今回筆をとったのも、脱糞をレポートしインターネットでチョけてやろう、という目的が半分だが、もう半分は未脱糞者が脱糞後に生じる立ち向かうべき壁、事後処理などを学んでこういったエアプ故のミス・悲劇を少しでも減らすことができればという思いである。

 

最後に、佐賀駅に多目的トイレを設置して下さったJR九州への感謝を持って筆を置きたい。