スパイダーマン: スパイダーバース 感想文
ツイッターのオタクが「ペニーパーカーちゃん可愛い」しか言わないbotになったのでロリコンこわ…近づかんとこ…と思ってたけど映像表現的に凄そうってなったので見に行ってきました。
🕷アニメーションの映像革命🕷
— 映画『スパイダーマン:スパイダーバース』公式 (@SpiderVerseJP) 2019年3月14日
アニメーション映画の歴史を変えた!とも言われる本作の、メイキング映像を解禁💥
リアルなCG表現だけじゃない、新しい映像世界はこうして生み出されました✨
映画『スパイダーマン:#スパイダーバース』大ヒット上映中🕸️
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スパイダーマンの知識はサム・ライミ版の1と2を見たよ程度のパンピー・オタクです。
以下ネタバレ感想
100点満点で100点の映画だった。
テンポ良し映像良し音楽良しキャラ良しストーリー良し纏まり良しギャグ良し小ネタ良し終わり良し
まず特筆すべきは映像表現。
3DCGをベースに手書きアニメーションで加筆して、アメコミ風の陰影をつけたりエフェクトを付けたりしてる訳なんだけれど、それが凄く良い。
AKIRAとか、マクロスのミサイルのシーン(板野サーカス )とか、めちゃくちゃカット数が使われてて伝説になってるタイプのセル画のアニメとかあるけど全編がそれに近い。3DCGの長所である「アクションの派手さ・細部の描写の緻密さ」を低コストでやりつつ、アニメ加筆でそれにメリハリを付けることでそうなってる印象。 冒頭に貼った公式のツイートで紹介されてるチェイスシーンとかも凄いんだけど、クライマックスの平行世界融合装置みたいなやつでの戦闘シーンはほんと10分くらいずっと凄かった。
コストカットのために主要キャラを3Dモデルで作ってモブはアニメーションキャラでやる作品は死ぬほど違和感があってクソなんだけれど、 スパイダーバースはこのアニメーション風のエフェクトのおかげで、カートゥーン調の「ハム・スパイダー」や萌えアニメ調の「ペニー・パーカー」も3Dのキャラ達と並んでも違和感がない。
コミックっぽくコマ割になる演出、効果音が文字として書かれて表示される演出もメリハリが効いて格好良く、アメコミへのリスペクトがあって良かった。あとUSJのアトラクション的な、一人称視点になって敵の攻撃や動きが迫ってくるシーンなんかもあって色んな映像表現の技術が集結してるのを感じた。
その映像表現で描かれるストーリーとキャラも良かった。
以下核心的なネタバレ。
2時間の映画で主要キャラを複数体出しつつ、それぞれのストーリー・キャラ立ちをさせながらエンドロールに繋げていて綺麗に纏まってる。
ストーリーは主人公であるマイルスの成長の物語であり、ピーターBパーカーとの師弟関係がメイン。序盤で「能力に目覚めたてのマイルスのヘタレっぷり」と、ピーターBパーカーの無責任ダメ中年っぷりをコミカルに描きつつ、後半では対等な仲間になって~っていう熱い系のやつなんだけれど、サブで出てくるスパイダーマン達も、サラっと日常シーンで平行世界を知ったことによる価値観の変化や状態の変化を描写していてその情報量の多さが良かった。具体的には白黒のノワール映画の世界から来たスパイダーマン・ノワールがルービックキューブの色という概念が分からないっていう描写をサラっと合間にやるんだけど、そのルービックキューブを最後元の世界に戻る別れのシーンで持ち出して「いつか色が分かるようになって揃えてみせる」的な台詞言って、最後エンドロールで白黒の世界でルービックキューブを紹介しているスパイダーマンノワールって一枚絵が出る。サブキャラで、そのキャラの設定・世界観に基づいた起承転結をしっかりやってる。それを他のサブキャラも敵キャラも起承転結しっかりやってる。ハムスパイダーはギャグキャラなのでそういうの無いけどそこもある意味一貫している(ギャグにシリアスな成長ストーリーは不要な為)。
あとは単純に台詞回しが上手い。「OK説明しよう、放射性の蜘蛛に噛まれた時から~~世界でただ一人のスパイダーマンだ!」の説明を各スパイダーマンが各々やる天丼ギャグかつ説明台詞が各キャラ分挟まるのだけれど、その台詞を、成長して一人前のスパイダーマンになったマイルスがやるラストは完璧。
レッスン1「顔を見ずに手を見ろ」をBパーカーにやり返すマイルスも完璧。そういった反復による、伏線的台詞回しが無限に詰め込まれてる。オタクが好きなやつ。
音楽も良かった。ダイナミックなアクションシーンと音ハメが良くされて単純に見てるだけで脳内物質分泌される奴だった。
オタクが喜ぶ小ネタと、原点であるスパイダーマンへのリスペクトも多かった。各キャラの紹介の際にアメコミの表紙がパサっと置かれる描写、各スパイダーマングッズの描写、クリスマスソングネタ、スタン・リー登場と色々とネタにしたりパロったり。俺がアメコミ畑のオタクじゃないから分からなかったけど、スパイダーマンスーツがずらっと並んでるとことかアレはそれぞれ元ネタがあるんだろうなぁってなった。次回見る時は色々勉強して見たいなってなった。ペニー・パーカーはあんなキャラじゃないってのもあるらしいけれど。
唯一個人的なマイナス点として凛として時雨の翻訳ver用の主題歌だけは絶望的に合ってないなぁってなったけど、全然使われてなかったから致命傷には至らなかった。あと映像表現が濃すぎて見終えたあとフラフラして頭痛もしたけど興奮や眩暈的なものによる副作用だと思う。結論として100点。良い映画が見れた。映画館で見て良かった。
3DCGにアニメーション加工してく表現は完全にハイブリッドの良いとこどりって感じたのでバンバン主流な表現になっていって欲しい。