逆張りオタクの一生

最近ずっといわゆる「逆張り」という思考パターンの是非について考えており、一段落纏まったのでアウトプットします。

 

今回はいわゆるスラングや造語を使いまくるのでまずその定義からします。

逆張り」多数派の意見や流行を感じ取るとその逆を選ぶこと。流行しているコンテンツには興味ないと積極的に反旗を翻す。
モンハンでは死んでも太刀を使わずドマイナー武器を使うか、そもそもやらずにゴッドイーターや鬼討伝をやる。そういう選択を選ぶ旨の言動を「逆張り」、
そういった言動を繰り返すオタクを「逆張りオタク」と言う。

 

自分は人生の過半数の選択肢を逆張りオタクらしい選択をしてきたし、そう生きてきたな、と思ってます。
モンハンでは太刀を振り回す同級生を見てはランスを選んで通ぶってました。

その生き方は決して誇れることじゃないしむしろ恥ずかしいな、と26歳になって思うけれど、生き方や考え方が染みついてしまっているな、という自覚もあるし、言動の節々に表れていると思います。
要するに「逆張りダセェわ」と今さら思っても簡単には辞めれません。

そもそも俺の逆張りの始まりは小学生高学年から中学生にかけて、
親の教育方針によりテレビのチャンネル権が与えられず、民放を見ることができなかったことに起因していると考えています。
民放が見れないとなると、当時教室でのtier1(=一番流行ってるという意味の紙オタク言語です)の話題、あの芸人がどうこう、ドラマやらアニメやらがどうこう、ヒットチャートがあれそれ、といった話題の9割が意味不明な訳です。
ノれるtier1の話題はスマブラポケモンロックマンエグゼ遊戯王の話題だけでした。(センキューニンテンドー)

そうなるとどういう思春期の少年になるか。まぁスクールカーストがボトムに行くのはマストです。
俺は「特別な自分」への憧れである病である中二病との合併症もあり、そこからスクールカースト上位及び多数派の人間を「しょーもねぇ話題で盛り上がってる奴ら」と見下す思考になりました。
自己肯定のために「自分を見下す相手」を下げる手法ですね。
以上のプロセスを経てどくいろ少年の中で「バラエティ番組=ポップカルチャー=くだらない連中が喜ぶ下らないもの」という図式が完成してしまった訳です。

 

まぁこうやって順調にポップカルチャーを共有する文化圏から外れ、インターネットカルチャー、テキストサイト2chといった湿度の高い住民の居る文化圏へ属していった結果、立派な陰キャ逆張りオタクに育つわけです。
逆張ることで「周囲の有象無象とは違う」という自己肯定感につなげていた少年もやがて成長し、就活や社会人生活を経ることで無事「お前は見下してた有象無象と変わんないし、なんなら出来は全然悪い方やで^^」と"教育"されました。

 

こうなるともう「逆張る」ことくらいでは「俺は俗人より優れている」なんて錯覚は得れず、特に意味を持たなくなってくるわけです。
逆張りという行為の無意味さにようやく気付けた近年2,3年は、逆張りを辞めようとVtuberを少し見てみたり、ソシャゲを触ってみたり、友人とAPEXをやってみたりと少しずつ「順張り」ムーブをしてきました。

「順張り」:逆張りの対義語。造語です。モルカーを見てウマ娘をやるオタク。

 

その中で、自分の中で必ずしも「流行っていること」がそのコンテンツに手を出す際のハードルになっている訳ではないことが分かってきました。

端的に言うと、流行っているコンテンツを摂取することに躊躇いはありませんし、むしろ「流行っている」事を理由として、優れた作品を摂取できる機会を失うのは損失だな、と考えています。

ただ、「流行っているコンテンツを摂取した感想を意気揚々とSNSで発信すること
」に強い抵抗が残っているんですね。その理由は色々複合されているので、以下の円グラフにしてみました。

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1点目「他者からの認識」は、「友人等に逆張りオタクとして認知されてるので今更流行に乗って行くタイプのオタクと思われるのもなんだか恥ずかしい」ってことが40%です。
2点目「自分の認識」は、「ミーハーオタクに投げた投石がブーメランとなり刺さる自己矛盾が怖い」といった点や単純に「今までダセェとしていた順張りオタクになることへの葛藤」ってのが40%ですね。

3点目「コンテンツへの接し方」は、「流行ってるからという動機でコンテンツに接するのは不純に感じてしまうので、なるべく自分の感性に従ってコンテンツに触れて摂取したい(その方がコンテンツに対して真摯であり、また自分の感性も可視化されやすいので)」というのが20%になります。

 

上記の自己分析を経て、結論としては

「コンテンツの消費の仕方に重きを置いていること」が分かりました。

 

以下、「コンテンツの消費の仕方」に対する個人的な妄言です。


「感想を共有する事を目的としてコンテンツを消費すること」を「外的消費」と造語し、逆に、「自分一人で楽しむことを目的としてコンテンツを消費すること」を「内的消費」と造語しちゃいます。
これらの目的の違いは取り上げるのがマイナーカルチャー/ポップカルチャーに関わらず発生します。
B級サメ映画をネタにするためやバズるために見てTwitterウケしそうなレビューを書く行為は対象はマイナーカルチャーですが目的は「外的消費」です。
鬼滅の刃の大ファンで全巻読んでてアニメも映画も全て見ていたとしても「軽率なにわかファン」と思われたくないという逆張り精神の下「鬼滅ってよく知らないんですよね~(笑)」と全人類に対して言っていたら「内的消費」になります。

 

 

でですよ、じゃあ逆張りオタクとして生きてきた俺は「内的消費」ばかりするように徹し、あらゆる作品の感想を誰とも共有せず洞穴に住み続けていたのか?戒律を守り続けてきたのか?というと当然そんなことはありません。


前述したように、テレビはそもそも消費の機会を損失していたため、共有する経験もほぼ無い人生でしたが、ゲームに関しては親の規制があまり及ばなかったため、学校ではゲームの話題ばかりするニンテンドーボーイでした。ロックマンエグゼの攻略情報でめちゃくちゃ楽しく外的消費をしてきました。
なので、今でもtier1のゲームをプレイすることに全く何の気負いもありませんし、むしろマイナーゲームより優先的にポケモンスプラトゥーンゼル伝といったメジャーゲームに触れてきましたしそうしてきて良かった~と思ってます。
ですが、自分の場合はこれがアニメや映画、その他何かしらのムーブメントとなると一気に「外的消費」することへの抵抗が胸中に発生します。この辺は「慣れ」「習慣」

 

当然ですが、外的消費10割で行動し続ける人も、内的消費10割の目的で行動し続ける人もほぼいません。
今をときめくウマ娘を例にあげると、プレイしてる人達の中でもその動機は十人十色。Aさんは「なんか流行ってるからが8割、あるキャラの造形が性癖に刺さったからが2割」だったり、Bさんは「流行ってるのをうわさに聞いたのが6割、元から競馬が好きだったのが4割」だったり、Cさんは「アニメ一期からのファンで応援してたからプレイしてるのが9割、そんな自分に酔ってるからが1割、流行ってるからやるにわか死ねと思っている」だったりするでしょう。
プレイしていない逆張りサイドも「ソシャゲが嫌いだからやらない」「課金が怖いからやらない」「美少女好きオタクと思われたくないからやらない」だったり動機や割合のバランスは様々です。
俺のようにゲームには順張りだけどアニメには逆張りな人、と特定のジャンルや自分のルールで行動を変える人もいるでしょう。

 

また、本題からズレますが、そもそもコンテンツの属性によって「外的消費」の向き不向きもあります。ソシャゲや生放送といった文化はインターネットと切って離せないジャンルなので必然的に外的消費が増えますし、キャラクターやシーンを共有しづらい「匂い」「体験」「本」なんかは外的消費しづらいコンテンツです。
一口にゲームと言っても「桃鉄」なんかは外的消費用のゲームですし「スマブラ」でも一人でオンラインに潜り続けて他人とタイマンし続ける楽しみ方は「内的消費」的ですし友人とワイワイオフラインするのは「外的消費」です。
逆にコンテンツを創る側・売る側も大SNS時代の現代、「外的消費」されるよう色んな手段を用いてますね。漫画家がTwitterに自作の1話を貼るアレなんかや「スナックバス江」のTwitterのレスバトルに使いやすいように作られた一コマなんかは製作側からの露骨な「外的消費してね!」しぐさと言えるでしょう。(スナックバス江は素直に好きです)

「外的消費」も「内的消費」もどちらも人間に必要な行為であり、「コンテンツを消費する」=「作品の楽しみ方」として自由に与えられている選択肢だからです。


長々と書きましたが、
結局、「自意識は自己を保つ上で大事だけどそのために自分が色んなコンテンツを味わう機会を損失してるのはもったいないよな~
だから内的消費と外的消費のバランスを良い感じにキープして、どちらにも偏らないようにして生きていきたいな~」というのが今現在の自分の考えです。
昔は内的8:外的2くらいの割合で「外的4以上の割合のやつは流行に左右される人間性スッカスカのカス野郎!」って思想でしたけど、今は内的6:外的4くらいの割合で、「外的8以上の人もそれもまた自由。内的8以上の人は逆にお前選択肢狭めてて苦しくないか?楽になった方が良くない?」くらいの価値観になってるつもりです。

 

上記を踏まえて最近は友人に誘われたウマ娘を楽しくプレイしており、友人と週5で通話しながらプレイしています。

 

以上です。