「ポケモンレジェンズ アルセウス」と 「遊戯王マスターデュエル」をプレイして思うこと

27歳のオタク、どくいろです。
ここ二週間程、1月20日に突如リリースされた「遊戯王マスターデュエル」と1月28日に発売された「ポケモンレジェンズ アルセウス」のプレイをしていると余暇時間が消し飛んだり生活習慣が崩壊する日々を過ごしています。多くの20~30代オタク達同様に。TLが完全に小学校になったと話題ですね。

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この2タイトル、カードゲームとオープンワールドRPGであり、ジャンルはとても乖離していますが、共通項が多いな~と思いながらプレイしていて、その点についていろいろ思ったのでここで色々書く。

性質上、ネタバレを含みます。

 

では以下続きます。

 

 

前提として、アルセウスもマスターデュエルもとても楽しんでプレイしてる。

だが、「オープンワールドやったことないんだけどやってみたいんですよね」「カードゲーム興味あって初めてみたいんですよね」と友人知人に言われ、特にタイトルに拘りがないと言われた場合に、自分はアルセウスもマスターデュエルもオススメすることはできない。

それは自分がこの2タイトルを楽しめているのは「シンプルなゲームのクオリティが高い」「ゲームとしての体験が素晴らしい」「神ゲーだから」という点にあらず、「歴史」と「懐古」と「コミュニケーションツールとして」の面で楽しんでいる面が大きいからだ。

まずはアルセウスについて詳しく書いていく。

 

1.ポケモンレジェンズ アルセウスをプレイして思ったこと

こちら、自分は小学生からの友達と通話しながらプレイし、「あそこにこんなポケモンがいた」「こんな種類のオヤブンがいた」「あいつのリージョンフォルムどんなのだろ~」「このキャラあいつの先祖か~」等と楽しく会話してる。

この楽しみ方ができている時点でもう楽しいのだけれど、結局この楽しみ方は現在20代後半の我々ポケモン世代が小学生の頃にプレイしたポケモン、そして休み時間にその話をしていたことをフラッシュバックして楽しんでいる面がとても大きい。「懐古」だ。

だがそういった「懐古補正」を抜き、純粋に距離を置いて、新規のオープンワールドゲームとして見た場合、やや残念なところが多いゲームだなというのは正直思う。

 

良かったな~って思ってる点は、新たなポケモンを見つけ、いっぱい捕獲することが有効な資金稼ぎかつ団員レベル上げの条件となっており、「オープンワールドを探索すること=新たなポケモンを見つける喜び=ゲーム内報酬」としてデザインされていること。これにより新たなエリアが解放されたり、新たな移動手段を得たら「捕まえてないポケモンいないかな?」「オヤブンいないかな?」とオープンワールドを駆け巡るモチベーションになった。そこに自分の愛着のあるポケモンがいないか、ワクワクと探す楽しみも乗る。TLのオタク達がマップ駆け巡ってイーブイ見つけて喜んでいる景色が良かった。

なので新たな要素が解放される度にめんど…とならずに「捕まえてないポケモン捕まえてぇ~!」と楽しめた。

あと、大型個体であるオヤブンも遭遇した時のびっくり感、レア感、捕獲した時のうれしさと頼もしさなどが色々な感情を刺激してくれてとても良かった。「あ、ルカリオがいる。図鑑埋めよ」だとテンションの上がり方+3くらいなんだけど、「うわなんかでけぇオヤブンルカリオいる!!」だとテンションが+30くらいされた。

 

逆に微妙だなと思っている点はマップがやや狭い点、やることの単調さ(図鑑lv上げるには効率を求めると基本ステルスして背後からボールぶつけるだけになりがち)、UIの微妙さ、街の微妙な広さと不便さ、お使い中心のストーリー、ポーチ拡張野郎の過剰な搾取、オヤブンのLv差で粉砕できるRPG部分のバランス、ミニゲームみてぇなキング/クイーン戦etc…色々ある。つまりゲームとしてのシステム的な部分の多数だ。

 

極端な話、アルセウスポケモンが登場しないゲームだった場合、自分は定価で買ったことを後悔していただろう。だけど、ポケモンというIPと歴史、自分の中に蓄積されているポケモンとの思い出、そしてそれを通じて行えるコミュニケーションが大きすぎて、自分はアルセウスをとても楽しめた。

 

 

2.遊戯王マスターデュエルをプレイして思ったこと

マスターデュエルの方も似たような話だ。

マスターデュエルはとても良くできたDCGだ。UIもわかりやすいし、設定もチェーンや誘発を聞くかどうか、配置を決めるかどうかなども自分で調整できる充実っぷり。検索機能はひらがなでも漢字やカタカナも拾ってくれる。デッキは公開デッキから適当にコピーできる。一万種以上のカードプールを実装して突然リリースされた割には致命的なバグも、サバ落ちも起きていない。無課金でも計画的に資産を運用すれば大体のtier1デッキは完コピできるのも良心的。

 

だが、遊戯王というゲームは複雑すぎる。

自分はエクシーズ中期くらいの時代まではカジュアルプレイヤーながらも遊戯王wiki2chに入り浸っていたため、まぁ復帰勢の中では知識があるほうだろうと思っていたが、現代遊戯王は想像の100倍くらい複雑化していたし無限にプレイミスができた。デッキの回し方!みたいな記事を読むと、1つのデッキに対して主な展開ルートが3~4つ、それぞれ20行くらい、AでBをサーチしてBを特殊召喚してCをリンク召喚してDを特殊召喚して…みたいな行程が書かれていて爆笑した。遊戯王は学問。

 

なのでカードゲーム初心者には全くオススメできないし、ある程度の経験者でも学習に苦労したり先行ハメに不快な思いをするだろうから人を選ぶだろうし、配信にも全く向いてないなと思う。

具体的に現代遊戯王のゲーム性を書くと、後手を取って初手5枚に妨害手段(手札誘発)を持っていなかった場合、2分くらい、上記の20行くらいの行程でソリティアされた末に、4回くらい効果を無効化される状態で第一ターンが回ってくる試合がそれなりの頻度で発生する。自分のデッキを理解するまでには20回くらいのプレイミスを経てようやく人並に回せるようになり、そこからも相手のデッキやカードが理解できていないと手札誘発の打ちどころやあっち展開すべきだった~等で無限にミスできる。そらコナミさんもフォーマットで分けるとか生半可な措置ではなく、ライト層向けにラッシュデュエルを新設しますわという納得があった。

 

さて、遊戯王であることの欠点、選民性を長々書いたが、遊戯王であることの長所も無数にある。マスターデュエルは遊戯王だから盛り上がった。Twitterのトレンドに何度もエルドリッチが上がり、steamの同接がapexを超えたのは間違いない事実だ。一紙オタクとして悲しいことだが、新規のDCGやMtG等ではこの光景はなかなか見れなかった。

社会現象になり国産TCGという概念を生んだ遊戯王は、現20代後半~30代男性の多くの人が触れている。その復帰勢の多さ、かつて使っていたテーマで戦える懐古要素、名作である漫画・アニメを楽しんだ人々、その漫画/アニメをニコニコ動画のMADで、Twitterコラ画像で、コスプレ系YouTuberで、ネタにされてきた認知度の高さ。すべて遊戯王の長所であり歴史だ。

自分も元遊戯王プレイヤーだし、Mtgを通じての友人が多い関係で周囲に「元遊戯王プレイヤー」は大量にいた。なので彼らと日々きゃっきゃフレンド対戦をしては「現役の時どんなデッキ使ってた?」とか「は~お手軽リセットアーゼウスがよ~」「お手軽フィニッシャーアクセスコードトーカーがよ~」等と言いながら楽しんでる。たまにブチ切れてる。おそらくこういう20代~30代がいっぱいいるだろう。長らく連絡を取ってなかった学生時代の友人と久しぶりに通話してデュエルしたみたいな話もしばしば目にする。

 

また、現代遊戯王のゲーム性の欠点を書いたが、それを避けたい復帰勢の間では「低レアリティ構築」や「04環境」(2004年までのカードプールで戦う非公認フォーマット、1枚1枚のアドバンテージを競うシンプルで奥深い遊びができる)などの多様な遊び方も各配信やコミュニティの間で生まれている。これも遊戯王の「カードプールの広さ」と「復帰勢の多さ」があるからできることだ。

 

人口の強みについて書いたので、あと欠かせない要素として「歴史」の話がしたい。

マスターデュエルには、レガシーパックという、「ガーゴイル」☆3攻撃力1000守備力500「石像と思わせ、闇の中から攻撃する。逃げ足も素早い」みたいな、クソの役にも立たない通常モンスター達ばかり出てくるし、URやSRが出てきてもダストにして他のカードにすることもできない素晴らしいパックがあり、高頻度で配られる。

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このレガシーパックから出てきた通常モンスターや「戦士族モンスター1体の攻撃力・守備力300ポイントアップ!」みたいな、実質的な上位互換が300種類くらいあるカスのような魔法・罠カードでも「小学生のころ使ってたわ」とか「城之内が使ってたよな」とか話題になって昔話に花が咲く。ディスコードで画面共有してパック開封してるだけで無限に話せる。これが新規DCGなら絶対にない光景だ。50年後の老人ホームにはマスターデュエルのパック開封動画を流していてほしい。

アルセウスでも同様に「このポケモンはルビーの頃旅パに入れててさ~」等と無限に語れる。キャラの先祖設定なども歴史要素だし、開発側が意図的に利用しようとしている点だ。

 

 

3.まとめ

いろいろ書いたが、ポケモン遊戯王も我々20代後半オタク特効の属性を持っており、そしてどちらも「コミュニケーションツール」として非常に優秀ですねというお話だった。

だからアルセウスオープンワールドゲームとしては見劣りしても、マスターデュエルがもたらす現代遊戯王のゲーム体験が終わっていても、歴史があり、語りたい人が多ければ、コミュニケーションの場となり、多くの人がTLでその話題をして共感しあう「祭り」になるし、「あるある」が共有されるし、楽しめる人は想像よりたくさんいて、「良い体験」になるんだな~と強く感じた一週間だった。